<ピープル>『平壌はすごい』出版した脱北者リム・イル氏

2007年02月27日

<ピープル>『平壌はすごい』出版した脱北者リム・イル氏

 

「北朝鮮・平壌(ピョンヤン)には夫婦が仲良く共に入れる銭湯がある。浴場の入り口で夫婦で関係を証明する公民証(住民登録証)を提示してこそ入場できる。だけど追い銭を支払えば恋人も夫婦に認めてくれたりもする」。

平壌からクウェートの建設現場に派遣されたが、10年前の97年、ソウルに亡命した脱北者リム・イル氏(39)。同氏が、北朝鮮での体験談を紹介した著書『平壌はすごい』(図書出版マルグンソリ)を出版した。リム氏は「笑いの図書」と副題を付けた同書で、蒼光院(チャングァンウォン)にある総合慰楽施設の夫婦銭湯をはじめ、平壌の人々の生活ぶりとエピソードを詳しく説明した。

平壌の女性らが結婚時に準備したがる「5ジャン6キ」もその一つ。布団を入れるダンス、洋服用のダンス、飾り棚、食器棚、ゲタ箱(5ジャン、いずれも語尾がジャンで終わる)とテレビジョン、録音機、ミシン、扇風機、冷蔵庫、洗濯機(6キ、いずれも語尾がキで終わる)がそれだとのこと。マンションや自動車が平凡なものに思われうるが、北朝鮮では新婚夫婦の約0.1%だけがこの「5ジャン6キ」を準備できるという。

北朝鮮住民らの間で「昨夜、生活調節委員会が訪れた」との言葉は家に泥棒が入ったとの意味らしい。生活苦に陥った住民が他人のものを盗み困窮さを解決するのを「生活調節」に戯画化したもの。リム氏は「平壌の金持ちの家に泥棒が入ったことがあるが『人民が主人の国で、まんべんなく分けあって暮らそう』との手紙を残したことがあり、一時話題になった」と紹介した。

リム氏は、社会安全部(現在の人民保安省で警察にあたる)と対外経済委員会を経て、96年11月からクウェート駐在の朝鮮(チョソン)光復建設会社に勤めた。翌年3月、韓国行きのためクウェートの韓国大使館を訪れた。当時、黄長燁(ファン・ジャンヨプ)元労働党書記が韓国に亡命し神経を尖らせていた北朝鮮側は、韓国大使館に「裏切り者のリム氏を出さなければ、大使館ビルを爆破する」と脅迫したりもした模様だ。

リム氏は「北朝鮮が嫌いだからではなく、韓国がさらに好きで韓国入りした」とした。同書の序文で同氏は「母の懐のような故郷、平壌をあまりにも愛す」と書いた。だが平壌にいる娘ミヒャンさん(当時2歳)に対する申し訳ない気持ちを隠せないとした。同書にはミヒャンさんあてに送る手紙も掲載されている。

同氏は「私の誕生日に生まれて夫婦にとって大きな贈り物になったミヒャンにとって、父は罪人」とし「私がぼけて置き去りにした」と切ない気持ちを示したりもした。同氏は韓国に定着した後、大学で産業デザインを専攻し、現在出版社に勤めている。リム氏は講演を行なう度、統一世代になる北朝鮮新生児への支援が必要だとの点を力説している。同氏は、同書の収益金一部を北朝鮮最大の産婦人科病院・平壌産院に寄付する計画だ。

 

http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=84980

<ピープル>『平壌はすごい』出版した脱北者リム・イル氏

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